~『最適自分』を取り戻そう!~
これからはすべての人にとって「栄養(学)」が必須科目になる時代に!
今や欧米では、栄養こそが最も本質的で効果的な医療であるという視点が強まっており、それにともない医療制度、医学教育が大きく変わりつつあります。
…いっぽう、日本の医療界は大幅に遅れているんですが、問題点は遅れをとっていることにも気づいていないところにあるかなと思っています。
それはさておき、みなさんが、そんな大幅な遅れに付き合わなければいけない義理も道理もありませんので、さっさと自分たちは自分たちで自分の健康を守っていく努力をしていきましょう。

私たちがやることは2つ! とてもシンプルです。
- 日本人共通の栄養最低ラインをクリアしておく
- 自分の栄養状態を定期的にチェックして最適化しておく
まずは1つ目、「日本人共通の栄養最低ラインをクリアしておく」
ところで『日本人の食事摂取基準2025』、目を通してみたことありますか?
(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44138.html)
ない? それは大損しているかもしれませんね。
私たちが機会あるごとに『日本人の食事摂取基準』に関心を持ってくださいと繰り返し伝えていますが…それには理由があってのことなんです。
理由は、『日本人の食事摂取基準』※には、私たち日本人に共通する栄養最低ライン(これだけは摂っておかないと病気のリスクが有意に高くなるよという最低ライン)が書いてあるからなんです。
※『日本人の食事摂取基準』とは;健康増進法に基づき、国民の健康の維持、生活習慣の予防を目的として、国民が健全な食生活を営むことができるように栄養最低ラインを5年ごとに策定し発表しているものなのですが、平たく言うと私たちがクリアしておくべき栄養最低ラインです。
今、欧米を中心に「栄養学」…つまり栄養と栄養保険(ベースサプリメント)への意識改革が進んでいるんです。今まで医療界は(日本を含め欧米も)栄養(学)を軽視してきました。医療の王道はあくまでも標準治療(手術や薬)であって、栄養は二の次でした。医学部6年間での栄養学の講義はたった数時間あるかないかでしたが、今もあまり状況は変わっていないようです。
しかし、米国では(欧州も追随)、2010年代後半から、ハーバード大、タフツ大を中心に、『Food Is Medicine運動』が始まり、がぜん栄養学が注目を浴び、栄養が確実に医療(治療)の中心に近づきつつあります。
で…、日本人共通の栄養最低ラインが明記されているこの『日本人の食事摂取基準』によく目を通してみると、いかに日本人が(私たちが)栄養失調であるか、栄養に無知であり軽視しているか、そして栄養保険がいかに必要であるかが、よくわかると思います。 ちなみに、実際にこの日本人共通の栄養最低ラインをクリアしている日本人は、なんとほんの0.3%なんです(『日本人の食事摂取基準2015』の疫学データ)。
実際には「理想的な食事」はほぼ不可能
( 日本人の食事実態 厚労省)
- 食物繊維、カルシウム、カリウム、鉄、ビタミンD、ビタミンB群などは慢性的に不足
- 若年層・中年層・高齢者問わず、「ほぼ全員が何かしら不足している」
- 食事摂取基準をすべて満たしている人は、実質ほとんどいない(0.3%)

そのため? 日本人の、腸内環境が悪化している、健康寿命がなかなか延伸しない、慢性病や認知症が増えている、医療費が増え続け健康保険制度が破綻しつつある…のかもしれませんね。逆に考えれば、この日本人共通の栄養最低ラインをクリアすれば、日本人はもっと健康になり、日本の医療費に大幅に削減できることにもつながりますよね。
現代の食環境が「栄養密度」の低下を招いている要因
- 加工食品・外食・精製食品(白米・小麦など)が中心
- 作物の栄養価の低下(ミネラルや抗酸化成分の減少:土壌栄養の枯渇)
- 忙しく不規則なライフスタイル
→「きちんとした食事」は困難 ・結果として、カロリー過多 × 栄養不足 という「かくれ栄養失調」が蔓延
ということで、まずは、しっかりと栄養保険をかけて日本人共通の栄養最低ラインはクリアしておきましょう。
しかし話はこれで終わりではでないんです。むしろここからが本番、みなさんの努力が必要になります。
2つ目の課題は「自分の栄養状態を定期的にチェックして最適化しておく」です。
昨今よくわかってきたことは…万人に適した栄養(食)はないということです。
現実的には、食の世界標準に則って、可能な限りその基準を努力目標にして、あわせて最大公約数的に最低ラインの栄養保険をかけておく、ここまでは今までに述べたとおりです。

詳しくは
『セルフ治療』の時代 P22~25
その次に必要なのが、ご自身の最適化(カスタマイズ)です。
万人に適した栄養はないので、あなたに適した栄養(微調整)をあなた自身が見つける必要があります。その微調整をすることによって、より健康度を高め、老化を遅くして、健康寿命が延伸することが次第に明らかにされつつあります(いわゆる『Precision Nutrition』ですね)
そのためには、みなさん自らが栄養について学ぶ(知る)必要があります。
理由は、少し考えてみれば納得できると思いますが、最適な栄養は、みなさん各人の、年齢、性別、ライフステージ、活動度、体質、食習慣、嗜好、ストレス、遺伝背景、病気の有無、季節などによって異なってくるからです。

詳しくは
『セルフ治療』の時代 P26~27
このように、自身の今の状況によって栄養のニーズが異なり、変化もしますので、体調をはじめ、血液検査、腸内細菌叢検査などで定期的にチェックする必要があるんです。
さらに、少し難しい言葉になりますが、『N-of-1』…これ医療界ではこれからのキーワードになりそうです…自身でいろいろセルフ治療の強度を変えてみて(ベースサプリの摂取量を変えてみたり、運動量を変えてみたりなどなど)、自分に合った、セルフ治療をみつけることが、これからのみなさんのMUSTになるのかもしれません。…それで私たちはセルフ治療の必要性を喧伝しているんです。

詳しくは
『セルフ治療』の時代 P59~62
一人一人に合わせた試行と評価を通じて最適化していくアプローチです。
- 自分の食生活・体調・血液検査、腸内細菌叢検査などから「どの栄養が不足しているか」を評価
- その上で、個別のサプリメント設計や食事調整
- 効果を定期的に見直して、最適化を続ける…試行錯誤を続ける
栄養の世界も「画一的なガイドライン」から「個別最適」へと進化しつつあります。従来の医療(医者)はあくまでもセフティネット(いざという時の保険)、日頃は自身が医療者になり自身で自分をケアする、世界はそんな時代に突入しようとしていることを知っておく必要があります。
したがって、セルフ治療の一環として、自分の栄養状態を定期的にチェックして最適化することが不可欠になります。
一人一人に合わせた試行と評価を通じて最適化していくアプローチです。
- ベースサプリ(栄養保険)で「誰にでも不足しやすい栄養素」をカバー
- その上で、生活習慣・体質・症状に応じて、自分に合った「カスタム化」
By 岡本裕(eクリニックスタッフ医師)

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